ちずぶらりHackers

オープンソースの古地図/絵地図アプリ基盤、Maplat開発してます。同種のソリューションに対する優位性は、色々ありますが一番は、あらゆる地図間で双方向1対1座標変換可能な点です。ぷらっと会津若松 https://s.maplat.jp/r/aizumap/ 、ぷらっと奈良 https://s.maplat.jp/r/naramap/ 、ぷらっといわき https://s.maplat.jp/r/iwakimap/ 、ぷらっと館林 https://s.maplat.jp/r/tatebayashimap/

Strolyの数千件の地図収集アドバンテージをそこまで脅威に思わない理由

古絵地図プラットフォーム技術の普及で重要になるのは大きく2つの視点があげられます。

  1. 技術の優劣
  2. 収集した古絵地図コンテンツの量

このうち、1. に関しては、先の記事等で広範なStrolyMaplatの比較をしつつ、個々の優劣はありつつも全般的にはMaplatの方が優れていることを記してきました。残る2. の視点では、私がMaplatで現時点で集めているコンテンツは100点未満であり、日次の増加数などから外形的に観察する限りおそらく3000〜5000点のコンテンツを集めていると思われるStrolyに劣ります。 が、この差について私はさほど脅威とは感じておらず、その理由について本記事で説明してみたいと思います。

そもそも数千件は大きな数ではない

世の中にいくつの古絵地図があるかの統計はありませんが、おそらく十万百万のオーダーだと思われます。 その中で数千件のリードはさして大きな数ではありません。 Googleがクロールで世界中のほぼ全てのWebページを何億と蓄積しているように、既に大半の世に存在するコンテンツをおさえられてしまっているならば後発が覆すのは容易ではありませんが、数千件レベルであれば、たとえばMaplatが(仮に)投資を受けて事業を開始したり、あるいはオープンソースとして多くの人に使ってもらえるようになったならば、十分に覆すことが可能です。 実際、Stroly社のコンテンツ蓄積サイトhttps://stroly.com/を見てみても、そちらの検索フォームで地名から地図を探せますが、「東京」や「大阪」といった大都市でこそ複数の地図がみつかるものの、地方都市の名前を入れるとほぼひとつも地図が見つかりません。 「数千件」というのはその程度の数という事であり、現時点での彼らの優位はその程度でしかありません。

Strolyの古地図の大半は著作権の切れた「オープンデータ」であり、誰でも使える

Stroly社が揃えている古地図データの大半は、著作権の切れた「オープンデータ」であり、彼らが独占的に使えるデータではありません。 私のMaplat技術での利用含め、誰でも再利用可能なデータです。 ですので囲い込み効果がありません。

絵地図は著作権があるものが多いですが、基本的に個別Strolyユーザが著作権者と一致しているケースが大半であり、個別ユーザが利用技術を乗り換えればそのまま利用権も移るようなものが大半なので、これも囲い込み効果は薄いです。

古絵地図と位置の対応付データの著作者/ライセンス規約があいまい

しかし、地図画像データだけでは古絵地図アプリは動きません。 Stroly / Maplatとも、動作させるためには古絵地図と位置の対応付データを作成する必要があります。 そのようなデータの利用権は囲い込み効果があるものといえますが、Stroly社が独自に作成したデータは間違いなくStroly社の著作物ですが、StrolyのユーザがStroly社のツールを使って作成したデータは、誰の著作物かという明確な規約を現在Stroly社は整備していません。 ですので、ツールはStroly社が提供していても、ユーザが作成したデータはユーザのもの、と判断されれば、ユーザが使用するツールをStrolyからMaplatに乗り換えた場合に、作成したデータをそのまま移動させることができる可能性があります。

もちろん、今後Stroly社が、Strolyのツールで作ったデータはStroly社が著作権を要する、あるいはStrolyでのみ利用できるものとする、といった規約を整備してくる可能性はありますが、元々オープンデータ界隈で支持を得てきた会社/ソリューションだけに、そのような規約変更にユーザが納得するかは疑問が残るところです。

不正確なStrolyのデータは正確なMaplatでは使えない事が多い

一番大きな脅威でない理由で、Maplatの技術的優位性とも繋がってくる問題です。 Strolyと比較してMaplatの方が双方向全単射変換を保証するなど、正確に位置情報を扱えるのですが、それを保証するためデータ作成時においても、正確さを担保するためにトポロジーエラーチェックなど多くの検証処理をMaplatツールでは実施しています。 その検証処理を経ていないStrolyツールで作成されたデータは、そもそも不正確すぎてMaplatでは使えない事が多いです。 正確に言うと、「使えない」のではなく「正確に扱おうとするとエラーが出てしまう=Strolyと同程度の変換精度しか出せない」なので、動かないわけではないのですが…。 つまり、Strolyがデータを何千件、何万件先行して蓄積したとしても、その多くはMaplat的精度では要求に満たない、不正確な不良データが大半(悪く言えばゴミの山)になります。

以上のような理由により、何千件程度のStrolyのコンテンツ量優位は、さほどの脅威ではなく、もし後発で事業化したとしても、簡単に覆せるものであると言えます。

© TileMapJp/歴史国土/地図タイル工法協会