Code for History

"Code for History"はIT技術を歴史学上の問題の解決に使うコミュニティです。強調したいのは、我々にとってIT技術は「手段」であって「目的」ではありません。「目的」は歴史学上の問題を解決する事であって、必要であればITでない手段も活用します。常に最優先なのは、問題を解決することです。

Stroly社との関係改善取り下げ連絡全文

この週末にStroly社に内容証明で出した、関係改善の取り組みの取り下げを通知する連絡の全文をここに引用公開します。
なぜ公開したかについては、末尾に記載しております。
なお、本文読んでいただければわかる通り、当方からの能動的取り組みは取り下げますが、先方からの取り組みに対する門戸は開いております。


拝啓
御社と当方との関係改善のやり取りにおきまして、当方からの回答が大変遅くなりましたことを、まずはお詫び申し上げます。

当該の関係改善に関する取り組みですが、理由については後述いたしますが本連絡の結論といたしまして、当方からの申し出は取り下げさせていただきます。もし御社の方で、当方との関係改善が必要だと考えられ、後述するような理由について態度を改善していただき、取り組みを継続されたいならば、その門戸は閉ざすつもりはございませんが、当方から申し出る形での関係改善の取り組みは取り下げさせていただきます。

理由については大きく2つございます。

まず1点目に付きましては、御社側で当方からの申し出に対し、真摯な姿勢が見られないためです。当方としては、関係改善のために双方ただちに謝罪し合うのであれば、それでも構いませんし、その謝罪の前に担保とやらが必要とおっしゃられるのであれば、それを双方示し合うのでも全く構いません。ですが、当方といたしましては、謝罪し合うのであれ、担保を示し合うのであれ、先に行動を起こすのは、たとえそれがほんの1秒の差であったとしても、御社側が先に行動を起こす必要があると考えており、その点に関しては1ミリも譲る気はございません。当方のこの立場に関しては、直近の内容証明のやり取りよりはるか以前の、https://blog.chizuburari.jp/entry/2016/11/23/124531こちらの記事で取り上げた内容であるところの、御社高橋徹氏に関係の清算を呼びかけた際(その際には、徹氏には一瞬で逃げられましたが)より、一歩も揺らいでおりません。当該の関係改善が為されるとして謝罪し合う対象の事象の中で、御社より当方に為された不利益は、当方より御社に為されたかもしれない不利益よりはるかに時系列上先に行われております。しかもその中には、当方への脅迫など、もう時効であろうとはいえ、刑事にもなりかねないものも含まれております。そうである以上、謝罪し合うにせよ担保を示し合うにせよ、まず先に動くべきは御社であろうというのが当方の立場です。
にもかかわらず、御社の姿勢は、まず担保とやらを当方が先に出す事に固執しており、御社の側に問題行為があったかどうかの認定はその当方からの担保を確認後認定する、つまり現時点では御社の側に非があったことすらいまだ認めておられません。そのような態度をされる限り、当方としては関係改善を進めるわけには参りませんので、御社側が関係改善を継続したいと考えられ態度を改められない限りは、当方からは申し出を取り下げさせていただきます。

2点目の理由ですが、御社よりCTOの中川氏が退任されたことが挙げられます。私の主観的な感覚では、御社より当方に為された不利益は、ほぼ100%が高橋徹氏、真知氏によって私に為された不利益ですが、逆に当方から御社に対して為された(謝罪すべき)不利益は、ほぼ100%が中川氏に対して私が為した誹謗中傷であったろうと考えております。私は中川氏に対しては、彼の配偶者が亡くなられたのは天罰だ、等という酷いものを含め、相当の誹謗中傷をした自覚があります。御社に対して関係改善を申し出たのも、9割以上中川氏との関係改善を望んでのものでした。
が、その中川氏は御社を退任され、中川氏の退任理由も高橋徹氏との不調和であった結果、同じく高橋徹氏との不調和で御社を退社となった私との関係改善が成立し、既に個人として中川氏に謝罪し許していただくことが叶いました。その結果御社に対しては、私の主観的立場からは、そちらから謝ってもらうべきことは多々あるものの、こちらから謝るべき(と当方が認識している)事象はほぼなくなったこととなります。御社との関係改善で期待していた中川氏との関係改善は既に獲得できておりますので、謝罪すべき事象の量が不釣り合いになったことも含め、御社との関係改善に固執する必要が全くなくなりました。

以上の2点の理由より、何度も申します通り依然門戸は開いておりますが、当方が能動的に御社との関係改善を申し出る事については、それを取り下げさせていただきます。それを受けまして、御社の方では、当方の行為が目に余ると思われるのであれば警察に相談されるもよし、訴訟されるもよし、自由にしていただいて結構かと存じますが、ただ、当方の主観的立場として、このような行為は御社への誹謗中傷には当たらないという事例を、2点ほど当方の主張としてこの場を借りて示させていただきます。

まずは、御社より当方に対して為された不利益行為に関して、当方が言及する行為についてです。「高橋徹氏によって、当方は脅迫された」ですとか、「当方が善意で申し出た条件付きの退職申し出について、騙して条件を全て反故にした上で追い出した」といった内容は、当方にとっては完全に主観的事実です。単に事実というだけでなく、それこそが御社と当方の確執の決定的原因である以上、当方に対してそれに言及するなと言われる筋合いはないと考えております。もちろん、当方も理性ある思考はできますから、私の知り得なかった様々なファクターも合わせて考えると、それらが主観的事実であっても客観的事実でない可能性は理解できます。なので、客観的事実だと言うつもりは毛頭ありません。ですが、当方が認識を主観的事実から客観的事実に改めるためにも、御社との関係改善で認識をすり合わせる機会が必要だったわけですが、その機会から延々と逃げたり、担保だなんだと不誠実に対応されたりする御社に、私が主観的事実を語ることを責める資格があるとは当方は考えません。これも何度も繰り返しますが、当方は御社と関係改善する門戸は閉ざしませんので、もし関係改善し当方の認識を客観的事実で更新したいと思われるのであればそのための話し合いには応じますが、それなしに主観的事実を当方が言及することを妨げられる筋合いはないと当方は考えております。

次に、https://drive.google.com/file/d/1rEjkN2d5AvVhB0nY8OUvwZaCxQIHe9TD/viewなどの場において、御社のソリューションと当方のソリューションの比較を行ったり、あるいは御社が御社製品のバグを修正できないことについて、当方が言及したりする行為についてです。当方も御社を追い出されたために独自のソリューションを開発しなければならなくなった以上、そのソリューションを世の中に普及させるために、御社ソリューションより優れている部分は優れているとして、宣伝していく必要があります。当方が資金調達できる可能性を考えてVC様に情報を提供する事を含め、それらを宣伝することは当方にとって経済活動の自由として当然の権利であり、あからさまな虚偽を含むものでない限りは、御社への誹謗中傷や営業妨害に類する類のものではないと当方では考えております。当方の資料を見ていただければわかりますが、虚偽を含むどころか、現状で御社の方が優れている機能については無視することなく、正しく御社の方が優れているとして資料では触れておりますし、誹謗中傷の類と言われるようなものではありません。

以上2点について、当方では仮に当方が公の場で言及することがあっても、それは誹謗中傷や営業妨害に類するものにはならないと当方は考えております。が、それは当方の主観的考えですので、御社の方で不法行為に当たると考えられるのであれば、ご自由に警察へ再度相談されたり、訴訟を検討されたりすればよいかと存じます。ただ、もし警察や訴訟などで当方のソリューション、Maplatの活動を止められると考えてそのような手段を選ばれるのであれば、そのような事のないようにオープンソースにしておりますし、近々元御社CTOの中川氏が参加していただけるのを含め、私の手を止めたところでMaplatは止まらない、ということをお伝えしておきます。また、当方は御社から受けました不利益に対して、その中には当方主観から見て脅迫行為や公共機関への虚偽申請など、今さらですと時効ではありますが、刑事の対象になりかねないようなものもございましたが、特に警察沙汰などにすることなく対応しております。御社も、そのような力を借りてどうこうしようとするのではなく、正々堂々と、言論と技術開発、経済活動で対抗なさる事を強くお薦めいたします。

最後にですが、御社と複数回内容証明をやり取りさせていただきましたが、論点をズラされたと感じることが何度かございました。関係改善において謝罪に先立ち担保を、と要求された事に対しても、当方は不利益行為を先に行ったのは御社側であるのだから、担保を示すならば先にそちらが、と言及したにも関わらず、御社からの返信では御社が先に当方に不利益をなした、という点に答える事を無視して、当方が御社の要求を無視した、と言う点のみ強調されました。そのような論点ズラしなどがあるとまともに交渉できませんが、それも全てクローズな場でやり取りしていることが原因かと当方は考えます。万人に主張の内容が精査される場ではそのような事は起こらず、真摯で誠実に議論ができるのではないかと当方は考えますので、当方は今回のご連絡につきまして、送付後当方のブログ上で内容をそのまま公開いたします。また、これに対する御社からの返答があった場合は、それもテキスト化させていただいて同じく公開させていただきますので、その前提で返答いただける場合は返答いただければありがたく存じます。

当方からのご連絡は以上です。よろしくお願いいたします。
敬具

Maplatが特許申請しているのはStrolyからのスラップ訴訟対策のためだけです

Maplatは特許を出願していますが、そのことについて、年末のQiitaの記事で質問をいただきました。

特許出願中とのことですが、取得後Maplatの利用にどのような制約が生じますか?
別途許可を得ないと利用できなくなるかなと思ったのですが。

Maplatの特許申請中原理は、JavaScriptオープンソース実装の利用を通じて利用される限り、将来におよびライセンス料などを徴収する事はありません*1
Maplatの特許出願は、対抗技術(Stroly)対策として出願しているのが主目的です。

Strolyも特許を取っており、その特許技術の手法と全く違うやり方でMaplatは性能機能を実現しています。
それは仮にMaplatが特許を申請していなかったとしても明らかで、現時点でMaplatは下記の通り、Strolyに対し性能的にも機能的にも優位を実現しています。
特許技術を剽窃している方が本家より性能が出るなんてそんなわけはありません、違うやり方をしているから相手より性能が出ているのです。
(以下の図表は2019年1月現在の比較)
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が、Stroly社はそういう道理が通じる相手ではありません。
Maplatを潰すためなら、脅しのためのスラップ訴訟を起こしてくる危険性が普通にある会社ですので、完全に違う技術であることを明確にし証明する事を主目的として、Maplatは特許を出願しています。

ですので、ライセンスビジネスで儲けることなどが主眼ではないので、繰り返しますがMaplatの実装を通じて特許技術を利用される限り、特に申請もライセンス料も必要なく利用継続できる形になります。

以上のことをQiitaで説明しましたところ、それであればこれまでのMITライセンスではなく、オープンソースを通じて特許を利用する限りライセンス料は自由に使えるApache 2.0ライセンスに変更した方が良いのでは無いか、という助言をいただきました。
その助言に従い、2009年1月公開のリリース0.4.0より、ライセンスをApache 2.0ライセンスに変更いたしました。
これで、Maplatの特許取得完了後も、皆様により使ってもらいやすいライセンスになったと思っています。
ぜひ、どんどん利用いただけると嬉しいです。

*1:ただし、Maplat実装とは別に同じ手法を独自実装する場合には、事前承認が必要ですし場合によってはライセンス料を必要とする場合もあり得ます。
基本的に、現在JavaScriptしか実装がないこの技術において、JavaScript以外の言語での実装を、Maplatのブランド名の元で、オープンソースで新たにやる場合は、ライセンス料はなしで認めるつもりでおります。

Strolyでは近い将来、地図のマッピングデータライセンス帰属が問題になってくるだろう

Strolyに関して、半年1年規模で近い将来に問題になってくるのが、地図のマッピングデータ(対応点情報やPOI情報等)のライセンス帰属がどこなのか、という問題だろうと思う。
オープンデータ企業を標榜している割に、Strolyはいまだかつてマッピングデータをオープンデータにするという表明をしていないどころか、そもそもライセンスをどこが持っているのか、Strolyエディタを使ってマッピング作業をしたユーザの所有なのかそれともStrolyエディタを擁するStroly社の所有なのかという事をあいまいにしてきている。
これはStroly社が上向き成長*1している間は問題を生まなかったが、今後近い間に問題になってくる可能性がある。

Stroly社はこれまでにまず昨年1.4億を調達し、さらに今年2.5億という多額の資金を調達した...にもかかわらず、その所有する技術は、座標変換性能においても機能においても、個人のオープンソースプロジェクトに過ぎないMaplatに大きな遅れを取っている。
具体的にどのような性能、機能が劣っているかについては、Maplatが2018年11月に国土交通省主催のGeoアクティビティコンテストで最優秀賞含む三冠を達成した時の資料に詳しくまとめられているのでここでは省略する。
またStrolyは単に他プロジェクトに劣っているだけではなく、現時点で自身が実装完了している機能についても、うまく動作しないバグを抱えている。
一例として、こちらのURLを確認してみてほしい...鎌倉市由比ヶ浜付近の古地図の海岸線が見えると思うが、これをOSM地図に切り替えると、全く海岸線が一致しない*2
これは地図変換時の縮尺計算ロジックが間違っているバグである。

これらの性能機能の遅れやバグの存在について、すぐキャッチアップできるならばStrolyもなんの問題もないといえる。
が、実際には、これらの性能機能の遅れの一部は昨年1.4億調達した時点で存在したにも関わらず、それから1年経ってさらに2.5億調達した時点で全く遅れがキャッチアップできていないどころか、新たに機能対応遅れが発生しているという体たらくである。
1年で1.4億使い切ったにも関わらず*3、一切技術的遅れを取り戻せなかったどころかさらに離されたStrolyが、残り2.5億使ったからといって技術的に優位に立てるだろうか。
ましてや、Strolyにとってさらに悪い状況として、今年技術力の流出が発生したことがある...同社で唯一GISの知識を持つ技術者であった元CTOの中川氏が、共同CEOの高橋夫妻との確執の末に、今年11月退社したのである。
技術の核が存在した状態で1.4億使い切り1年かけても技術的劣勢を覆せなかったStrolyが、技術の核を失った状態で、2.5億あったところで技術的優位を得ることができるだろうか...私にはそうは思えない。
その傍証もある。
先に述べた地図変換時の縮尺計算バグ、私は2018年11月25日の時点で、中川氏退社後の技術開発リーダーである同社上田氏にバグの存在をレポートしている。
しかしこの記事を書いている2018年12月17日現在、もう大方20日が過ぎようとしているにも関わらず、いまだにバグは修正されていない。
自社の技術の心臓部分のエラーすら、まともに修正できないレベルで、Stroly社の技術はすでに失われている状態といえる。

このようにStrolyが残り2.5億で、個人プロジェクト相手にすら技術的優位を得るのは絶望的な状況である。
また、同社は1.4億を1年で使い切ったように、まだ完全に赤字体質で、売上で会社を維持していける状態ではない*4
となると、同社が経営を維持していくには何が必要か?...2年後くらいだろうか、2.5億を使い切った後に追加で投資してくれる投資元である。
もし2年後に追加の運転資金を投資してくれるところがなければ、Stroly社は完全に干上がるだろう。
しかし、個人の余暇プロジェクトにすら後れを取るStrolyに、2年後投資してくれるVCが現れるだろうか?
もちろんStroly対抗プロジェクトのMaplatの知名度がなければまた投資する元は現れるかもしれないが、2年という月日はStrolyがMaplatに対する技術優位を得るには短い年月だが、Maplatが知名度を得るには十分な年月と言っていい。
もし2年後、どこからも投資を受けられなかったら...Stroly社に見えるのは「倒産」の2文字である。

さて、当初のマッピングデータライセンスの話題に戻る。
Stroly社が順調な間は、ライセンスの問題はあいまいなままでよかった。
ライセンスの所有者がどうであれ、そのマッピングデータを使ったサービス結果は、Stroly社のサービス基盤を通じて享受できるのだから。
しかし、Stroly社の倒産が見えてくるとどうなるか?...倒産すなわち、Stroly社のサービス停止であり、マッピングデータを使ったサービスはその後受ける事ができなくなる。
そうなると、Strolyを利用しているユーザは、自分たちのマッピングデータなどを外に逃がして、Maplatのその他の手段でサービスを継続したいと思うようになるだろう。
その時に問題になるのが、マッピングデータのライセンス帰属問題である...もしマッピングデータのライセンスがStroly社にあるとされるのであれば、ユーザがいかにデータを外に逃がしたくても、ライセンス違反になるので持ち出せない!!

マッピングデータについて、Stroly社が自主的にマッピングして公開している地図のマッピングデータのライセンスは、言うまでもなくStroly社の持ち物である。
これらについては、残念ながら、もしStroly社が潰れる事があれば一緒に消滅しても仕方のないデータだと言える*5
しかし、ユーザがStrolyに対価を払ってマッピングしてもらったデータのライセンスは誰に所在するのか?
Strolyエディタを使わせてもらっただけで、マッピング自体はユーザ自身が行ったデータのライセンスは?
こののちStrolyの経営に陰りが見え始め、Maplat等にデータを移したいと考えるユーザが増え始めるにつれ、これは問題になってきそうである。
だからこそ、Strolyのユーザには、まだStrolyが元気なうちに、マッピングデータのライセンスの帰属をはっきりするよう、そして当然ユーザ側の方に取り戻すよう(あるいはオープンデータの側に)、働きかけることをお勧めしたい。
これを働きかける事は、ある種Stroly経営陣が今後の経営についてどの程度自信があるかを確かめるための試金石にもなるといえる...何故ならば、今後の経営に自信があるのならば、データの帰属がどうであろうと気に留めないだろうが、自信がなければ、自社サービスに引き止めるためライセンスを手離さないであろうからだ。
是非Strolyユーザの皆さんには、マッピングデータのライセンス帰属を明確にさせる働きかけをして欲しい、そしてライセンスを勝ち取って欲しい。

というか、Strolyが倒産しうる可能性を考慮したうえでデータのライセンス帰属をはっきりさせた方がいい、と長々論じてきたけど、そもそも経営が危険であろうがなかろうが、データのライセンス帰属をはっきりさせないこと自体がどっかおかしいんだけどな!

*1:単に成長実態はなくて金が集めるのが上手かっただけという話もあるが

*2:もし一致しているならば、バグは修正されたという事だが、この記事を書いている2018年12月17日現在、バグは修正されていない

*3:これは当初Strolyの社員数と人件費から推定した憶測だが、のちに後述する元CTOの中川氏にも裏取りしたが事実のようである。1.4億使い切ったので、新たな運転資金として2.5億調達したが、調達できなければ今年で足が出ていたようである

*4:この事は中川氏にもある程度裏を取っている

*5:本来は、Stroly自体がオープンデータ企業を標榜しているのだから、これらについても積極的にオープンデータにして、同社が潰れても社会資産として残るようになることを望みたいところだが、それは強制できない

Maplat、2018年Geoアクティビティコンテストで最優秀賞含む三冠達成しました! & 東京都中央区版公開 & 館林市観光協会員になりました

どうもご無沙汰しております。
しばらく記事書いていない間に、タイトルのような大きな話もいくつかあったのですが、来年の地図学会日本開催でMaplatの発表をするための英文アブストラクト作成に追われていてあまり時間が取れませんでした。
ですので古いものは1か月以上前の報告になるのですが、いくつか報告します。
まずは...

Maplat、2018年Geoアクティビティコンテストで最優秀賞含む三冠達成しました!

今年、Maplatは国土交通省主催のGeoアクティビティコンテストに参加しておりました。
参加にあたってのポスター兼配布資料はこちら、発表資料はこちらでご覧いただけます。
参加結果ですが、なんと、最優秀賞をいただいただけではなく、教育効果賞、来場者賞も同時受賞の三冠をいただきました!
コンテストの様子は、片岡さんの地図ウォッチ記事や、株式会社コギトさんのブログ記事でもレポートいただいています。
古地図の位置を視点中心で正確な位置とあわせつつ、方角と縮尺を都度合わせる事で全体として古地図を歪めないままに正確な地図と「なんとなく」重なっているように見せかけるという手法について、多くの来場者の方から「天才的だ」と言っていただいたり、地理院の方々から「これは地図をぴったり合わせる事ばかり考えている地理院の中からは出てこない発想だ」と言っていただいたりし、とてもありがたく感じました。
この中心、方角、縮尺を合わせてざっくり重なってるように見せかけるという手法は、やはり因縁があるので言及してしまいますがStrolyも、Web版ではまだできていませんがiOS版では実現できている事です(といってもそれをやったのは私ですが)、しかし、元々Stroly社には古地図と正確な地図の中心を合わせる技術しか存在してなくて、方角と縮尺を合わせる技術は私がStroly社の中に居た頃に実現させたんですね。
その意味では、MaplatはStrolyの真似事をしているわけではなく、方角と縮尺を合わせる技術は完全に私のオリジナルなものなわけなのですが、それが「天才的」等と評価されて、また実際に賞までいただけた事をとてもうれしく思います。
今後もこの受賞を糧に、古地図に含まれた様々なストーリー性、コンテンツ性を表現できるツールとしてMaplatを育てていきます。
そしてICC2019での国際会議発表を経て、いよいよ海外進出だ!なんてw

Maplat東京都中央区版「ぷらっと東京中央区」公開!

これまで「ぷらっと奈良」、「ぷらっと会津若松」、「ぷらっといわき」、「ぷらっと館林」の4サイトを公式展開してきたMaplatですが、この度5作目として、初の東京エリア進出の作品を公開しました。
その名も「ぷらっと東京中央区」!

s.maplat.jp

初の東京進出だけでなく、今回は絵地図師/散歩屋として有名な高橋美江さんの魅力的な絵地図とのコラボレーション!
美江さんの綺麗な絵地図と、江戸期、近代の中央区地図との切り替えで中央区の街歩きを楽しくサポートします。

もしこのようなサイトを他の地域で作りたい!と思われる方は、ぜひ rekishikokudo@tilemap.jp にコンタクトください。
格安でサポートいたします。

館林市観光協会員になりました!

アニメ「宇宙よりも遠い場所」、もう公開から1年を経ようとしていますが、館林のアニメ聖地88選定、さらに誰もが驚いたニューヨークタイムズ海外テレビ番組ベスト10選出と、ますます盛り上がっています。
聖地館林でも、長年草の根で聖地巡礼者を支えてこられたコテージレザーさんの数々の革細工瞬ぴーさんの南極チャレンジカレーうどんとパーシャル丼大島まんじゅう屋さんのペンギン饅頭のそれぞれ公式化と、明るい話題が絶えません。
今後ますます館林巡礼が活発化していくと思い、我がぷらっと館林のよりもい巡礼マップもどんどん利用してもらってよりもいと館林盛り上げに貢献したいと思っているのですが、いかんせん中々存在を知ってもらう事ができません。

そこで思い立って、館林市観光協会さんの会員になってみました。
もう観光協会さんからのリンクも張っていただいています。
館林駅前の観光案内所などにもチラシも置いてもらえるようになったので、以前よりは発見してもらえ易くなったと思います。
観光協会会員になった事を活かして、うまく館林盛り上げに遠隔地ながらもどう絡んでいけるかを考えていきたいと思います。
今度は館林城の再建を目指す会の会員を目指してみようかな...会員募集してるかわからないけど...。

正確な地図を、正確なままタブレットなどで扱える時代になりました

いとちり先生が、ハザードマップなどの正確な地図を、教育現場でも有用なタブレットなどでも見られるデータ形式にするためのTipsを公開されています。 4回連載です。

正直、やっと時代がここまで来たかーという感じで、個人的にすごくうれしいです。 私は不正確な地図を扱うためのソリューションとして、Maplatという技術を開発しており、同種の機能を展開しているStrolyという技術と対抗しています。 もちろん対抗している以上自分の方が使われた方がうれしいですが、ぶっちゃけて言ってしまえば、皆が正確な地図を扱うのにStrolyさえ使わないでいてくれたら、不正確な地図を扱う範囲であれば、Strolyを使おうがMaplatを使おうが私にとっては大した差ではないのです。 なぜなら、Strolyの運営は、正確な地図を正確なまま(GISとして)扱える形で技術を成長させようという提案を一蹴しただけでなく、『Strolyのような最新の技術が、GISのような古臭い劣った技術を導入できるか』と大意で言うような、GISを小馬鹿にした物言いまでしたのですから。

6年ほど前、私はStrolyの中の人だったのですが、GISの技術者でもあったので、不正確な地図を地図システムとして扱えるようにするStrolyの理念には賛同していましたが、一方で、Strolyを通すと正確な地図まで不正確にしか扱えなくなってしまうのを危惧していました。 正確なデータは、正確さを保ったまま扱えるようにすべきだという信念を私は持っていましたので、StrolyはGISデータも正確なまま読み込めるような進化をすべきだ、という主張を当時社内でしておりましたが、それに対して経営陣は先に書いたような言葉で否定してそれを拒んでいました。 結局、それにも端を発した一連の対立の結果、私は経営陣に騙されてStrolyを追い出されるに至ったのですが、そのような事を中で体験していたものですから、Strolyが元が正確な地図データを扱うという事に、非常な嫌悪感を持っていました。

その頃、いとちり先生もStrolyのユーザだったのですが、不正確な観光マップ等をStroly化する分には何の抵抗も感じなかったものの、先生は高校の教師ですから、教育のために正確な地形図やハザードマップ等もStroly化して授業で使おうとされているのに、とても悔しさを感じていました。 先生には先生の立場があり、教育現場でのタブレットの活用などのテーマもある中で、当時は不正確に扱うとはいえ、タブレットの上で自由に地図を表示できるソリューションはStrolyくらいしかありませんでしたから、それを活用して授業をする先生の行為は十分に理解できたのですが、しかし私はStroly運営の内情を知っていますから、先生、その方々はGISの敵なんですよ...ととても悲しい思いで見ていたのを覚えています。

それから月日がたち、記事の最初で引用したように、いとちり先生も正確な地図を正確なままタブレットなどに導入する方法を確立され、正確な地図まで不正確に扱うStrolyを、タブレットで使うためだけに活用するような時代は終わりを告げたようです。 いとちり先生の一連の記事を見た時、私がどれほど嬉しかったか! あまりに嬉しかった気持ちを残したく、この記事を書かせてもらいました。

記事の本題は以上なのですが、もし不正確な地図と正確な地図を同時一緒に同じシステム上で扱いたいと思われる方は、ぜひMaplatの採用を検討してみてください。 元々Strolyを作っていた人間が、正確な地図も扱えるようにしようと訴えて排除されて、その問題意識を持ったまま新たに作り上げたシステムなので、Maplatは最初から正確なデータも読み込んで一緒に扱える機能がついています。 ぜひ興味のある方は試してみてください。

『宇宙よりも遠い場所』の聖地巡礼マップも含む『ぷらっと館林』好評公開中です!

アニメ「宇宙より遠い場所(よりもい)」の聖地巡礼地図作成のために国土地理院測量成果複製の承認申請出していて、1週間ほど前承認がおりました。 地図への承認文言の追加も完了して、Maplatのデモサイト・ぷらっと館林で公開しています。 もしかすると、アニメの聖地巡礼マップ作るために国土地理院測量成果複製申請したの、私が初めてだったりするかもしれません。 館林市現地のよりもいを盛り上げようとされている、コテージレザーさん、瞬とぴいぷるさん、大島まんじゅう屋さんをはじめとするたくさんの方々のご協力で完成した地図なので、ぜひ館林現地巡礼で活用していただけると嬉しいです!

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で、その巡礼地図を公開しているぷらっと館林ですが、なかなか魅力的な配布用チラシなども完成し、先日館林を再訪問させていただいた際に、いくつかの巡礼拠点にチラシの設置をお願いしてもらってきました。

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チラシのダウンロード (A5x2)

先に書いた地図作りに協力いただいた3箇所の他、らーめん厨房 ぽれぽれさん、ラーメンカンさん、小野調髪所さん、まゆ玉うどん もり陣さん等に置かせてもらってます。 チラシを置かせてもらっただけでなく、コテージレザーさんや小野調髪所さんには、ブログで紹介記事まで書いていただきました!(コテージさんの記事オノトコさんの記事) ありがとうございます! おかげでそれ以降ぷらっと館林のアクセス数はうなぎのぼりです。

さて、肝心のぷらっと館林の中のコンテンツの方ですが、よりもいの巡礼マップだけでなく、国立国会図書館さんや館林市教育委員会さん、館林城の再建を目指す会さん等から特別な許諾をいただいた魅力的な古地図、絵地図が多く収録されていて、様々な切り口から館林の魅力を知ったり、様々な気付きを得たりする事ができるようになっています。 五宝寺さんのような著名寺院などは当然古地図でも場所が確認できますし、

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また街角で偶然見つけた小さな観音堂が、その場所の古地図を見ると昔観音院という寺院があった事がわかり、関係があるのだろうかと思いを馳せたり、そういう気付きを体験することもできます。

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機能的にも、PWA (Progressive Web Apps)と呼ばれるアプリ形式に対応しており、Android/iOS共々、ホーム画面にインストールできる仕組みになっていて、その状態だとスマホがオフラインになってもアプリが動作し続ける仕組みになっています。 ぜひ館林の魅力を楽しんでいただければ幸いです。

またそのほかの地域の方も、Maplat技術を使ったぷらっとシリーズには、他にも『ぷらっと奈良』『ぷらっと会津若松』『ぷらっといわき』等の各地のアプリが用意されていて、それぞれ魅力的な地図を取り揃えており、PWA対応などの機能にも同様に対応しています。 ぜひ、各地の魅力を楽しんでいただければ幸いです。 また、同種のアプリを自分の地域でも導入してみたいと言う方がおられましたら、rekishikokudo@tilemap.jp (@は半角に直してください)までお問い合わせください。

Strolyの数千件の地図収集アドバンテージをそこまで脅威に思わない理由

古絵地図プラットフォーム技術の普及で重要になるのは大きく2つの視点があげられます。

  1. 技術の優劣
  2. 収集した古絵地図コンテンツの量

このうち、1. に関しては、先の記事等で広範なStrolyMaplatの比較をしつつ、個々の優劣はありつつも全般的にはMaplatの方が優れていることを記してきました。残る2. の視点では、私がMaplatで現時点で集めているコンテンツは100点未満であり、日次の増加数などから外形的に観察する限りおそらく3000〜5000点のコンテンツを集めていると思われるStrolyに劣ります。 が、この差について私はさほど脅威とは感じておらず、その理由について本記事で説明してみたいと思います。

そもそも数千件は大きな数ではない

世の中にいくつの古絵地図があるかの統計はありませんが、おそらく十万百万のオーダーだと思われます。 その中で数千件のリードはさして大きな数ではありません。 Googleがクロールで世界中のほぼ全てのWebページを何億と蓄積しているように、既に大半の世に存在するコンテンツをおさえられてしまっているならば後発が覆すのは容易ではありませんが、数千件レベルであれば、たとえばMaplatが(仮に)投資を受けて事業を開始したり、あるいはオープンソースとして多くの人に使ってもらえるようになったならば、十分に覆すことが可能です。 実際、Stroly社のコンテンツ蓄積サイトhttps://stroly.com/を見てみても、そちらの検索フォームで地名から地図を探せますが、「東京」や「大阪」といった大都市でこそ複数の地図がみつかるものの、地方都市の名前を入れるとほぼひとつも地図が見つかりません。 「数千件」というのはその程度の数という事であり、現時点での彼らの優位はその程度でしかありません。

Strolyの古地図の大半は著作権の切れた「オープンデータ」であり、誰でも使える

Stroly社が揃えている古地図データの大半は、著作権の切れた「オープンデータ」であり、彼らが独占的に使えるデータではありません。 私のMaplat技術での利用含め、誰でも再利用可能なデータです。 ですので囲い込み効果がありません。

絵地図は著作権があるものが多いですが、基本的に個別Strolyユーザが著作権者と一致しているケースが大半であり、個別ユーザが利用技術を乗り換えればそのまま利用権も移るようなものが大半なので、これも囲い込み効果は薄いです。

古絵地図と位置の対応付データの著作者/ライセンス規約があいまい

しかし、地図画像データだけでは古絵地図アプリは動きません。 Stroly / Maplatとも、動作させるためには古絵地図と位置の対応付データを作成する必要があります。 そのようなデータの利用権は囲い込み効果があるものといえますが、Stroly社が独自に作成したデータは間違いなくStroly社の著作物ですが、StrolyのユーザがStroly社のツールを使って作成したデータは、誰の著作物かという明確な規約を現在Stroly社は整備していません。 ですので、ツールはStroly社が提供していても、ユーザが作成したデータはユーザのもの、と判断されれば、ユーザが使用するツールをStrolyからMaplatに乗り換えた場合に、作成したデータをそのまま移動させることができる可能性があります。

もちろん、今後Stroly社が、Strolyのツールで作ったデータはStroly社が著作権を要する、あるいはStrolyでのみ利用できるものとする、といった規約を整備してくる可能性はありますが、元々オープンデータ界隈で支持を得てきた会社/ソリューションだけに、そのような規約変更にユーザが納得するかは疑問が残るところです。

不正確なStrolyのデータは正確なMaplatでは使えない事が多い

一番大きな脅威でない理由で、Maplatの技術的優位性とも繋がってくる問題です。 Strolyと比較してMaplatの方が双方向全単射変換を保証するなど、正確に位置情報を扱えるのですが、それを保証するためデータ作成時においても、正確さを担保するためにトポロジーエラーチェックなど多くの検証処理をMaplatツールでは実施しています。 その検証処理を経ていないStrolyツールで作成されたデータは、そもそも不正確すぎてMaplatでは使えない事が多いです。 正確に言うと、「使えない」のではなく「正確に扱おうとするとエラーが出てしまう=Strolyと同程度の変換精度しか出せない」なので、動かないわけではないのですが…。 つまり、Strolyがデータを何千件、何万件先行して蓄積したとしても、その多くはMaplat的精度では要求に満たない、不正確な不良データが大半(悪く言えばゴミの山)になります。

以上のような理由により、何千件程度のStrolyのコンテンツ量優位は、さほどの脅威ではなく、もし後発で事業化したとしても、簡単に覆せるものであると言えます。

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