Code for History

"Code for History"はIT技術を歴史学上の問題の解決に使うコミュニティです。強調したいのは、我々にとってIT技術は「手段」であって「目的」ではありません。「目的」は歴史学上の問題を解決する事であって、必要であればITでない手段も活用します。常に最優先なのは、問題を解決することです。

「世界でひとつだけのHacker」との難波の夜の思い出

大阪で働いていた前職では、無料WiFiルータ基盤整備事業に取り組んでいた。 初代ルータは既製品のファームウェア書き換えで対応していたものの、2代目ルータ候補はオリジナル製品を準備しようということで、前職取締役がアジアのハード会社に発注して早々に3万ハードを確保。

ところが、既に3万ハード作って納入もされてしまってるそのハードが、とても特殊なMIPSアーキテクチャで、まともにファームウェアコンパイルできるビルドチェーンが作れない。 チップメーカーが用意した?DD-WRTだったかな?のバニラは一応あったので、OpenWRTで初代向けに作ったファーム、サーバからのファーム自動更新機能なんかも作り込んだその成果を捨てて、そのハード専用のファームをバニラから1から作れば対応できんことはなかった。

けど、ファームからサーバサイド、フロントコーディング、技術者仕事じゃない整備戦略立案まで、サポートとデザイン以外の仕事は実質私一人で対応してたので、そんなん作る予算もマンパワーもない。 また仮にできたとしても、初代と2代目が別管理のソースコードになるので、まともに今後の機能アップなどが考えられなくなる。 なんとか初代向けファームを2代目でもコンパイルできる環境を探してると、唯一、世界でただ一人そのアーキテクチャ向けにオープンソースでビルドツール公開してるラトビア人がいた*1。 あちらも趣味程度で進めているっぽくドキュメントも不十分な中、それをベースにコンパイル進めてたんだけど、もう実際不可能で、その人に直接仕事として出した方が早いんじゃないかという感じになった。

連絡取ろうとその人のgithubチェックしたら、何故か所在地が「日本、鳥取」になってる。 えええ?と思ってコンタクトしたら、1年ほどの休みを取って兵庫香住*2の禅寺で禅修行してると。 しかも、1ヶ月後くらいに難波に行くので、そこでなら会えるというので、詳しく聞くと、もう修行終わったので関空から帰るので、その前夜なら会えると。 そんなこんなで、地球の裏側の、世界で唯一その時やってた仕事をこなせる人と直接出会って、難波でどんちゃん騒ぎの夜を経験しました。 一蘭のラーメンやら、串カツだるまやら、たこ焼きやら、(会社として仕事を頼む可能性があったので)会社の金で食べさせまくって、これが日本大阪の食いだおれ文化なんですよHAHAHA、と盛り上がりました。

結局、せっかくそんな人材を見つけたにもかかわらず、会社側判断で、3万件ものハードを無駄にしたまま事業をシュリンクする方向になってしまったので、結局その人に仕事を頼むことは実現しませんでしたけど。 とても残念。 もっとも、その後ごたごたあって会社自体がそんな事業やってるどころではなくなったので、まあ結果的に仕方ないっちゃあ仕方なかったのかもですが。

ここまでの偶然で時間軸もぴったりあって、直接会って、みたいになったのは珍しいけど、私は本当にいろんなことに対してあきらめが悪く、地球ひっくり返してでも解決策を見つけてやる、的なところまで突っ込むので、地球の裏側から解決策見つけたみたいな経験は割としょっちゅう。

*1:今見ると、何故かgithubは削除されていた。本人のサイトはまだ残っていた。

*2:なぜ鳥取だったかは不明

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